① はじめに|介護サービスってどう選べばいいの?

「親の介護が必要になったけど、どのサービスを使えばいいの?」
「訪問介護?デイサービス?施設?何が違うの…?」

初めて介護に向き合う家族が、必ずぶつかる悩みです。

この記事では、介護保険で使えるサービスの全体像を“簡単に・正確に”整理し、
あなたの家族に合ったサービス選びのポイントをわかりやすく解説します。

専門用語はできるだけやさしく、現場でよくあるケースも交えて説明します。


② 介護サービスは大きく3つに分けられます

まずは全体像をざっくり把握することが大切です。

介護保険で使えるサービスは、主に次の3つに分類されます。

1️⃣ 自宅で受けるサービス(訪問系)
2️⃣ 通って利用するサービス(通所系)
3️⃣ 施設を利用するサービス(入所系・短期入所〔ショートステイ〕)

どのサービスを選ぶかは、

  • 本人の状態(要介護度・病状)
  • 家族の負担
  • 費用
  • 地域で利用できるサービスの数

によって変わってきます。


③ 自宅で使える介護サービス(訪問系)

自宅での生活を続けたい方に向いたサービスです。

■ 訪問介護(ホームヘルパー)

できる支援

  • 掃除・洗濯・調理などの生活援助
  • 排泄・入浴などの身体介護
  • 買い物同行 など

できない支援(原則)

  • 医療行為(インスリン注射・血糖測定など)
  • 同居家族が「実施できる」家事
  • 長時間の外出付き添い(保険外になることが多い)

※同居家族が高齢・病気などで家事が困難な場合、
例外的に認められるケースもあります。

向いている人
・日常生活の一部が難しくなってきた方
・家族の介護負担が大きい家庭


■ 訪問看護

看護師が自宅を訪問し、医療的ケアや健康管理を行います。

提供内容例

  • バイタル測定
  • 服薬管理
  • 吸引・胃ろう管理などの医療的ケア
  • 退院後の生活サポート

■ 訪問入浴

浴槽を持ち込み、自宅で安全に入浴支援を行うサービスです。
寝たきりの方でも入浴が可能になります。


■ 福祉用具貸与・住宅改修

福祉用具の例

  • 車いす
  • ベッド
  • 手すり
  • スロープ
  • ポータブルトイレ

住宅改修

  • 原則として同一住宅につき20万円まで保険適用
  • 自己負担は1~3割
  • 要介護度が大きく変わった場合など、条件により再度利用できるケースもあります

■ 居宅療養管理指導

医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士などが計画的に自宅を訪問し、

  • 病状管理
  • 服薬相談
  • 栄養指導

を行うサービスです。
比較的負担が少なく、専門的なアドバイスを受けられます。


④ 通って利用するサービス(通所系)

■ デイサービス(通所介護)

特徴

  • 入浴
  • 食事
  • レクリエーション
  • 軽いリハビリ
  • 仲間づくり

「家に閉じこもりがち」「家族が少し休みたい」家庭に向いています。


■ デイケア(通所リハビリ)

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの
リハビリ専門職が中心となり、リハビリを行います。


⑤ ショートステイ(短期入所生活介護)

在宅介護を続けるために活用される短期間の宿泊サービスです。

■ 特徴

  • 数日~数週間、施設に宿泊できる
  • 食事・排泄・入浴・レクリエーションなど一通りの支援
  • 家族の休息(レスパイト)に有効
  • 緊急時に受け入れ可能な事業所もある

■ 向いている家庭

  • 介護している家族が疲れている
  • 仕事や通院で家を空ける必要がある
  • 施設入所を検討しており、雰囲気を見てみたい
  • 本人が一人で過ごすことに不安がある

■ 費用の目安

  • 1泊あたり約3,000~7,000円前後(要介護度・加算により変動)
  • 食費・滞在費は別途必要
    ※所得状況によっては「介護保険負担限度額認定証」により軽減される場合があります。

⑥ 施設で生活するサービス(入所系)

■ 特別養護老人ホーム(特養)

  • 要介護3以上が原則(特例入所あり)
  • 費用が比較的安い
  • 待機者が多い地域もある

■ 介護老人保健施設(老健)

  • リハビリ中心
  • 原則3~6か月で在宅復帰を目指す中間施設
    ※地域によっては長期入所になるケースもあります。

■ 有料老人ホーム

  • 介護付き・住宅型・健康型など種類が多い
  • 24時間対応・医療体制が整った施設もある
  • 費用は高めだがサービスは手厚い

■ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

  • 自立~軽度介護の方に人気
  • 必要に応じて訪問介護を組み合わせる
  • 生活の自由度が高い

⑦ 介護サービスの選び方【実践編】

1️⃣ 本人の状態(要介護度・医療ケアの必要性)
2️⃣ 家族がどこまで関われるか
3️⃣ 費用を把握する

費用の目安

  • デイサービス:1回 500~1,500円
  • 訪問介護:30分 250~400円
  • ショートステイ:1泊 3,000~7,000円+食費・滞在費
  • 施設入所:月10万~25万円以上

4️⃣ 地域の状況(栃木県の場合)
栃木県内では訪問介護・訪問看護を提供している事業所も多く、
在宅介護の選択肢を取りやすい地域です。
一方、特養は待機者が多い市町もあるため、早めの相談が重要です。

5️⃣ ケアマネジャーに相談する
介護サービス選びは、ケアマネジャーに相談するのが最短ルートです。

なお、「地域包括支援センター」「市役所」「ケアマネジャー」の違いや、
最初に相談すべき窓口については、以下の記事で詳しく解説しています。

▶ 介護サービスの選び方|最初にどこに相談に行く?【栃木版】


★ 現場からのひとこと(経験コメント)

介護サービスには「できること・できないこと」が制度で決まっています。
草むしりやペットの世話は原則できませんし、
支援時間をその場で延長することもできません(次の利用者への影響が出るためです)。

また、事業所やケアマネに確認せず
「あれもこれも」と頼んでしまうと、後々トラブルになることがあります。
事前に相談しながら進めることが大切です。


⑧ 栃木県で相談できる場所(公式リンク付き)

■ 地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)

👉 栃木県公式|地域包括支援センター一覧
https://www.pref.tochigi.lg.jp/e03/welfare/koureisha/1184889455152.html

※お住まいの市町村名で検索すると、最寄りの窓口が確認できます。


■ 市役所(介護保険課)

👉 栃木県公式|介護保険制度について
https://www.pref.tochigi.lg.jp/e03/welfare/koureisha/kaigohoken.html


■ 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)

👉 栃木県公式|介護サービス事業所一覧
https://www.pref.tochigi.lg.jp/e03/itiran.html


■ 認知症に関する相談窓口(栃木県)

👉 栃木県公式|認知症相談窓口
https://www.pref.tochigi.lg.jp/e03/advice/fukushi/koureisha/1190704423980.html


⑨ まとめ

  • 介護サービスは「訪問」「通所」「短期入所・施設」の組み合わせ
  • 本人の状態 × 家族の負担 × 費用で選ぶ
  • 迷ったらケアマネ・地域包括支援センターへ
  • 家族だけで抱え込まなくて大丈夫