【栃木版】                    家族が後悔しないために知っておくこと   


① はじめに|「もっと早く知っていれば…」が一番多い

介護の相談を受けていると、家族からよく聞く言葉があります。

「もっと早く相談していればよかった」
「そんなルールがあるなんて知らなかった」

介護は、知っているかどうかで負担が大きく変わる分野です。
この記事では、介護の現場でよくある「相談時の失敗」と、
それを防ぐための注意点をまとめました。

これから介護に向き合う方、
すでに始まっているけれど不安がある方にも役立つ内容です。

※介護サービスの全体像や、在宅・通所・施設の違いについては、
以下の記事で詳しく解説しています。


② 失敗①|家族だけで抱え込んでしまう

よくあるケース

  • 「まだ何とかなる」と思って相談しない
  • 家族だけで介護を続けて限界になる
  • 体調を崩してから初めて相談する

なぜ起きる?

  • 介護=家族の責任だと思い込んでいる
  • どこに相談すればいいかわからない
  • 他人に頼るのが申し訳ないと感じる

注意点

介護は、一人や一家族だけで背負うものではありません
介護保険制度には、最初から「相談するための窓口」が用意されています。

早めに相談するほど、

  • 選べるサービスが増える
  • 家族の負担が軽くなる
  • 本人の生活も安定しやすい

というメリットがあります。


③ 失敗②|いきなり事業所に電話してしまう

よくあるケース

  • 訪問介護事業所に直接電話する
  • デイサービスを先に見学予約する
  • 「とりあえず使えそうな所」を探す

なぜ問題?

介護保険サービスを**保険適用(1〜3割負担)**で利用する場合、
原則としてケアマネジャー等が関わる
**ケアプラン(利用計画)**に基づいて進める仕組みになっています。

順番を飛ばしてしまうと、

  • 「まだ利用できません」と言われる
  • 同じ説明を何度もすることになる
  • 家族が混乱してしまう

といったことが起こりやすくなります。

※ 見学や情報収集のために事業所へ連絡すること自体は問題ありません。
ただし「すぐ使いたい」「保険で使えるか」は、制度上の手続きが必要です。

正しい流れ

まずは
👉 地域包括支援センター
👉 市役所(介護保険課)

に相談するのが近道です。

地域包括支援センター・市役所・ケアマネジャーの役割や違いについては、
こちらの記事で詳しくまとめています。

介護サービスの選び方|最初にどこに相談に行く?【栃木版】


④ 失敗③|要介護認定が出るまで何もできないと思っている

勘違いされやすいポイント

  • 「認定が出るまでサービスは使えない」
  • 「申請してから相談すればいい」

実際は…

要介護認定の前でも、相談は可能です。

  • 状況の整理
  • 今後の流れの説明
  • 使える制度の案内

は、申請前・申請中から受けられます。

※ 状況によっては、
要介護認定の結果が出る前に暫定的にサービスを利用できるケースもあります。

ただし、暫定利用は

  • 認定申請中であること
  • 暫定的なケアプラン等の手続きを行うこと

が前提です。
認定結果によっては、利用内容や自己負担額の調整が必要になるため、
必ず包括・市役所・ケアマネに確認しましょう。


⑤ 失敗④|「できること・できないこと」を知らずに頼んでしまう

よくあるトラブル

  • 草むしりをお願いした
  • ペットの世話を頼んだ
  • 支援時間の延長をその場でお願いした

なぜ問題?

介護保険サービスには、
**制度上「できる支援・できない支援」**が明確に決まっています。

例えば、
草むしり・ペットの世話・大掃除などは、
日常生活援助の範囲を超える例として示されています。

知らずにお願いすると、

  • 断られて気まずくなる
  • 事業所との関係が悪くなる
  • 家族が不信感を持つ

原因になります。


★ 現場からのひとこと

介護の現場では、
「やってもらえると思っていた」
「前はやってくれたのに」
という行き違いが本当によく起こります。

多くは、最初の説明不足や確認不足が原因です。
「これはお願いできるのか?」と
事前にケアマネや事業所に聞くだけで、防げるトラブルは本当に多いです。


⑥ 失敗⑤|費用を後回しにしてしまう

よくあるケース

  • 「介護保険だから安いと思っていた」
  • 後から自己負担額を知って焦る

注意点

介護保険サービスは原則1〜3割負担ですが、

  • 食費
  • 居住費
  • 各種加算

などは、別途かかる費用です。

事前に

  • 月にどれくらいかかるのか
  • 無理のない範囲か

を確認しておくことが大切です。


⑦ 失敗⑥|ケアプランを見直さず放置する

介護の状況は、
少しずつ、確実に変わっていきます。

  • 本人の体調
  • 家族の状況
  • 介護負担の増減

に合わせて、ケアプランは見直して問題ありません

「一度決めたら変えられない」と思わず、
遠慮なくケアマネに相談しましょう。


⑧ 困ったときの相談先(栃木県)

  • 地域包括支援センター
     高齢者の総合相談窓口(市町村ごとに設置)
  • 市役所(介護保険課)
     要介護認定の申請・制度相談
  • 居宅介護支援事業所
     ケアマネジャーによる相談(原則無料)

👉 まずは
「今の状況をそのまま話す」だけで大丈夫です。

「どこに相談すればいいのか分からない」という方は、
まずはこちらの記事を先に読むと全体の流れがつかみやすくなります。


⑨ まとめ|介護の相談で失敗しないために

  • 家族だけで抱え込まない
  • 最初は地域包括や市役所に相談
  • 認定前でも相談してOK
  • できること・できないことを事前に確認
  • 費用とケアプランは定期的に見直す

介護は、
「正解を一人で探すもの」ではありません。

相談すること自体が、
後悔しないための最初の大切な一歩です。

介護サービス全体の仕組みや選び方については、
こちらの記事もあわせて参考にしてください。